不器用なLOVER
離れていく上体は余分な肉がなく固く引き締まり、筋肉質って感じでもなくて石膏のように芸術的で綺麗だった。

「焦り過ぎは…僕の方だったね」

目尻を下げて髪を撫でる。

「透弥さん…」

私を抱き起こすと、ブラウスのボタンを留めていく。

「私…大丈夫だから。頑張るよ」

唇に軽くキスを落とし、

「そんな潤んだ瞳で見つめないで…僕の理性が持たなくなる」

その腕に抱き寄せ、

「晶の想い出は綺麗に残したいから、次はちゃんと演出するよ」

耳元で囁いた…

「何年先も、何度でも…思い出して欲しいから」

頬に暖かいものが伝いそれを唇で掬う。

「透弥さん…好き、大好き」

裸の胸に顔を埋める。

何も隔てるものがなく直接感じる透弥さんの体温と肌が心地良くて、今までよりももっと近く感じることが出来る。

この人を好きになって良かった。
この人と出会えて良かった。

ずっと好きでいさせてね?

ずっと傍に居させてね?

何年先も、何度でも…。

この気持ちは変わらない。

「晶…僕も、好きだよ」

透弥さんの甘い囁きが胸に響いて私を甘い恋に酔わせるから…。

きっといつか怖くなくなる。

きっといつか止められなく。

その時には…私の全部を透弥さんにあげるね?

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