ダーリンは王子様★
ソファーに座って本を読んでいた王子が眉間にシワを寄せている。



「ここまで来るの超命懸けなんですよ!」


「だったら来なければいいのに。」


「冷たっ!王子冷たい!冷酷非道!」


「うるさい。そんであんまギャーギャー騒ぐと生徒会のヤツに気付かれるぞ。」



はっ!
そうだった!
生徒会室とつながってるんだった!


慌てて口を押さえる。


「今さら遅くね?」


「いちいちツッコミますね、王子。」



「ツッコミどころが多いんだよ、お前は。」


「あれ…あず先輩は?」


「先帰った。梓さんは習い事とかで何かと忙しいんだよ。たぶん今日はお茶と生花の日じゃないかな。」


「カッコいい!」


「あの人こそ本物の王子だよ…」



コンコン…


「え!?」


生徒会室とVIPルームをつなぐ部屋の奥のドアから叩く音が聞こえた。


ヤバい!


「ちょ、隠れろ!」


「はいっ!」


慌ててベッドがあるほうに逃げ込みカーテンをしめ、わずかな隙間から様子を伺う。



「………はい、どうぞ☆」



ガチャ―――



生徒会室の中からやってきたのは生徒会の女の子。


「し、失礼します。あの…これ…たっ多田先生からの差し入れのお菓子なんですけど、もし良かったら王子も食べてくださいって…会長が……」



会長?
……おー!
わたぽん兄!
さすが!気が利くなぁ…

女の子は王子を目の前に顔を真っ赤にしてかなり緊張している様子。

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