君の声、僕の歌姫
それに戸惑う男とラウト達を含めた周囲の人々。

唯一表情を変えなかったのはマスターでした。


「やるならお相手しても良いですけどね。手加減はしませんから」


その不敵な笑みから、男は自らの命の危険を察したのでしょう。

棍棒を元に戻しました。マスターは相変わらずにこにこしたままでしたが、

先程のような邪気の含んだ笑みではなく、元の笑顔でした。


「あたし達をバカにした罰ね。ざまあみろよ」


思わずキルシュは本音をポロリと口にしてしまいました。

勿論男はその言葉を聞き逃してはいませんでした。

怒り狂った男はキルシュの方を向くと、棍棒をキルシュめがけて振りました。
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