君の声、僕の歌姫
その場にただ立ち尽くすラウトはフェアギスの後ろ姿を見ながら、こう思いました。

“嵐のような人だ”と。フェアギスの姿が見えなくなってもなお、

固まったままのラウトにフェネルが怒鳴ります。


『ラウト、あいつに怒鳴っても良い立場だっただろうに! あの女の色香に何を惑わされているのか?
お前にはスティーと言う相手がいると言うのに……はあ、情けない』
「俺は情けなくなんかない!」


周りから見れば、ラウトがただ何に対して怒鳴ったのかが分からないでしょう。

収まったのを見計らって現れた住人達は、その姿を見ていました。

痛い位に視線を感じたラウトは、改めて食料調達を再開しました。

ラウトの担当は生でも食べられるような、保存食。

渡された金額分で変えるだけ買えば、キルシュ達との合流場所まで向かいました。
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