君の声、僕の歌姫
知ったリミット
『私、ラウトに謝らなければならない』


“それ”を告げられてから3日後、スティーは何時ものようにローゼと面会をしていました。

ローゼは書かれたその文字を見て、スティーに何故かを聞きました。

スティーは再び文字を書き始めました。


『私はラウトに何もしてあげられないと思った。
ラウトの無事を願って、彼の好きな歌も歌ってあげられない。無力な人間だと思ったの』


ローゼは次々と書くスティーの文字をずっと追い続けていました。

途中、そんな事はないと言いたくなってもそれを堪えました。


『私は多分、ううん。確実にラウトをちゃんと信じてあげられていなかった。でも……ね』
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