君の声、僕の歌姫
『大したものだな……流石、と言うべきか』


ラウトは未だにこの炎の球を作っているのが自分だと言う事を、

信じる事は出来ませんでした。作った炎の球は目の前にあった大きな岩にぶつけました。

岩は粉々に砕け散り、砂と化しました。

岩があったであろう部分はやや地面が陥没していました。


『今の力は、あの時の氷と一緒の力だ。どうだ? 苦しくはないか?』


飲み込みがあまりにも早いラウトに驚きながらも、フェネルは体調の事を聞きました。

ラウトは首を横に振り、“全然平気だ”と答えました。


『その使い方、忘れるな。炎以外でも代用出来る。氷であろうが雷であろうがな』


忘れない内に何回か練習をした所で、太陽は頂上まで登っていました。
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