君の声、僕の歌姫
「お前はどうして、あの場所にいた?」


ダーリアは笑顔で、しかし何処か恥ずかしげに答えます。


「好奇心からです。この場所には悪魔のような魔法使いがいると聞きました。
怖いのもありましたが、1度この目で見てみたかったのです。
まさか貴方だとは思いませんでしたが……」


本当に勇気のある人間だとイフェルが感心していたその時、

ダーリアは言葉を続けました。


「貴方は、優しいです。悪魔なんかじゃない。むしろ天使のような方」


その言葉を初めて言われたイフェルは、何故か涙を流しました。

ダーリアは塞がった筈の傷が痛み出したのかと不安になりました。
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