君の声、僕の歌姫
「もう面倒だし、時間ないし、決着付けるから」
「ほほう…………」
「俺はラウトって人間であって、お前の息子なんかじゃない。
俺に会いたいだけでスティーから声を奪ったし、キルシュやハルトも傷つけた。
本当にお前は最低な魔法使いだ。でも、な…………」


ラウトは真っ直ぐな澄んだ目でイフェルを見ました。


「息子なんかじゃないって分かっていても、姉ちゃん以外の家族がいた事。
俺は少し嬉しかったんだ。何故かよく分からんけどな」


イフェルに初めて見せる優しき微笑みの後、ラウトを纏うオーラが一変しました。

近づけばすぐに怪我をしてしまいそうな程、力強くそして暖かく感じました。

目の色は前世の父親であるイフェルと同じ赤に変わりました。
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