君の声、僕の歌姫
残り5分前にまで迫った期限。

スティーは上から下まで純白のドレスに包まれ、まるで花嫁のような姿でした。

彼女の傍にはずっとローゼが付き添っていました。

残り5分になっても現れない弟のラウトの事で、気が気ではありませんでした。


(バカ弟! 早く来てよ……っ)


このままではローゼはスティーに託された物を渡さなければならなくなります。

それだけはどうしてもローゼはやりたくはありませんでした。

と、その時でした。外から騒がしい声が聞こえたのは。

ローゼも慌てて外に出ます。するとそこには大きな大きな、

見た事もない白い龍がいました。そしてその背には…………


「ラウトっ! ……と、後は誰?」
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