君の声、僕の歌姫
ラウトはそれを聞いた時、自分もフェネルやイフェルのように、

不老不死に近い存在になったんじゃないかと不安を覚えました。

スティーやローゼ。そして旅の仲間達が先に死ぬのを見るのが嫌だったのでしょう。

しかしフェネルは“人間として生まれたならば、死ぬまで人間だ”と、

笑いながら言いました。ラウトはまるで馬鹿にされたような気分でした。

召使いという条件もその右腕が完治するまでは保留で良い、とも。


「私も召使いにならないと……」
「スティーはならなくて良いって! これは俺だけに与えられたものだから」


ラウトは困ったような表情でそれを言いました。

スティーは少し残念そうな顔をしましたが、今度は何故か頬を赤らめました。


「ねえ、ラウト……突然でごめんね?
まだお願いがあるの。今から言う事ちゃんと聞いてね?」


風が吹き抜ける中、スティーはラウトの耳元で囁きました。
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