君の声、僕の歌姫
スティーは文字で反論するのも大変と感じたのか、

首を横に振りラウトの腕に強くしがみつきました。

どうやら彼女にとっては納得のいかない答えだったようです。


「スティーが死んだら元も子もない。それに、このおっさん達が許さないだろ?」


パサリと落ちた紙にはこう書かれていました。


『一緒に連れて行って』


と。しかしラウトはそれを許しませんでした。

危険が伴う事は確実であるこの旅に、スティーを連れて行く事は出来ません。

それにラウトが許した所で、教会の人間達はそれを許さないでしょう。

スティーは声を失ってはいるものの、彼らにとっては女神なのです。
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