君の声、僕の歌姫
何かを察したのか、焦るかのように注意を促すフェネル。

しかしラウトはその言葉の意味を間違った方に理解してしまいました。


「たったそれだけで全てを気付くなんて、出来る……か……!?」


突然背後からにゅっと触手のような物が伸びて来ます。

ラウトはかわす間もなくそれに捕まってしまいました。


『ったく、ちゃんと注意したというのにお前は馬鹿か』
「な、んだよ……って、な、なんじゃこりゃー!?」


姿を見せたのは動く大木の魔物でした。

腐りかけなのでしょう。ボロボロと表面がはげていきます。

それなのにラウトを握った枝は力強い物。

枝に掴まれたラウトはそのまま宙へと浮かびました。
< 46 / 227 >

この作品をシェア

pagetop