君の声、僕の歌姫
それにしてもどうしてそんな幸せな恋人同士が、こんな危険な場所にいるのか。

ラウトにはそんな疑問が浮かびました。しかしストレートに聞く訳にもいきません。

どうやって聞き出そうか悩んでいると、その悩みを解決する人物が現れました。


「ねえねえ、ところでラウトは何でこんな場所にいたの? 危険な筈なのに」


キルシュでした。どうやら彼女にはためらうと言う言葉は、辞書にはないようです。

ラウトは自分の聞きたい事をあっさりと聞ける彼女を、

ある意味で尊敬してしまいました。そして溜息を1つ吐いて言いました。

別に誰かに教えた所で何の害もないと判断したのでした。


「大切な人の“大切な物”を、イフェルって奴が奪ったから取り返しに」


イフェル、という言葉を聞いた2人の目の色が明らかに変わりました。
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