君の声、僕の歌姫
(何訳の分からない事を言っているんだこいつは)


ラウトはそう思ったのでした。しかしそれを言われたキルシュはと言えば。


「やだっ! ったくハルトってば。おだてたって何も出ないんだからねっ!」


照れながらハルトの背中を思い切り叩いていました。

ラウトはもしこの状態でお面を被っていたら、明らかにハルトは死んでいると思いました。

それと同時に2人は相当のバカップルだな、とも思いました。


(もしスティーの返事がOKだとしても、こんなバカップルにだけはならないようにしよう)


ラウトは心の中でそう強く決意をしました。


「じゃ、もう用はないよな。長話したけれど俺はこれで」


もう用もない事だから、とラウトはその場を去ろうとしました。
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