君の声、僕の歌姫
「待ちなさい」
「…………」


立ち上がり、2人から離れようとしたラウトの服の袖を掴むのはハルトでした。

2人の方を振り向けば、何か用かと言わんばかりの表情をするラウト。


「しらばっくれる気!? あたし達も一緒に行くって言ったでしょ!?」


キルシュの言葉にハルトはただ頷くだけでした。

さっきの話で一緒に行く事を忘れていたと思えば、そうでもありませんでした。

ラウトはそんなに甘くはいかないか、と小さく溜め息を吐きました。


「俺はイフェルを倒さない。ただ取り返すだけだから」
『イフェルはそんなあっさりと返すような奴ではないぞ』
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