君にキス。
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2年5組、それが俺と深の教室。
何故コイツと同じクラスになってしまったのか、いまだに不思議でしょうがない。
俺を気に入らない教師の誰かが一緒にしたんだろうか……
朝のこの時間帯は既に、生徒は登校済み。
「さあ陸、未来の彼女を探し出せ! ここにいないなら全校探せ!」
深はそう言いながら俺の背中をポンと押して、自分の席に向かった。
「……未来の彼女…」
そう呟きながら俺も席に着く。
カバンを置き一息着いて、ケータイを取り出して開く。
そういえば今日の占いは……
「あの…、相川さん、ですよね?」
突然、可愛らしい声が俺の耳に届いた。
振り向けばそこには、栗色の長い髪の小さな小さな少女。
少女が見つめていたのは、クラスの輩ではなく、もちろん深でもなく、俺。
パチッと目が合った俺に、見覚えのある黒い傘をおずおずと差し出した。
「あの、傘、助かりました」
「…あ? ……あぁ」
クラスの輩が、興味深そうに俺たちを見ている。
背後から視線が痛いほど伝わってくる。
──…つーか俺、相川さんじゃなくて国崎。
クラスの輩が俺たちを見ていたのは、きっとその名前の違いだろう。