君にキス。
「陸ー、だれだれ? あの子、可愛らしい子じゃーん」
俺とあの少女が話していたのを深も見ていたのか、そそくさと俺の隣の席に座ってそう言う。
「昨日傘を貸したんだよ」
受け取ったこうもり傘を机に立てかけながらそう言った。
「やるじゃーん」
肘でツンツンとつつかれ冷やかされる。
さすがにいい気分はしない。
「でも陸、相川じゃなくね?」
「ああ、まあいろいろあってな」
説明するのも面倒で、何も言わずにその話はスルーを試みる。
「てかあの子すっげーちっちゃくなかった?」
「まあな」
小柄で華奢、髪は艶やかな栗色。
周りの女みんなが、あの子のようになりたいと思っても過言ではないはず。