君にキス。
雨とか憂鬱。
手元の借りパクした傘は、本当にこのまま貰ってしまおうか。
しかし名前も書いてあるし。
仕方ない、仕方ないんだ。
なんて考えて、階段に向かう角を曲がったとき、
「……った」
腹に衝撃、誰かがぶつかった。
それは小さく、しかしどこか力強く。
「……」
その小さいが力強いのは……男子生徒。
頭を抱えてフラフラしている。
よく見ると、うわ、すげえ童顔。
あからさまに可愛らしい。
男を可愛いと思う俺は異常だろうか?
「……あの、だいじょ」
大丈夫? そう聞こうとして、手を貸そうとしたと時、
「あっはははっ!」
階段下から笑い声。