君にキス。






「渉、大丈夫かー!」


笑いを堪えながら、階段下から背の高い男子生徒が歩いてきた。
その背の高い男子生徒は、俺と目が合うとニコリと笑ってお辞儀。






何処かで見たことのある顔。



「…ほら渉、起きなさいっ」

そう言って、背の高い奴が小さい奴の首襟を掴む。
猫のように立ち上げられた小さい奴。






その童顔猫と目が合う。
さっき思い切りぶつかったからだろう、顔が青ざめている。






「渉、謝んなさーい、突進したのは渉だろ?」


そう言って背の高い奴が、童顔猫の頭を片手で下げようとするが、
「いや、俺もボーっとしてたし……、それより大丈夫?」






とその手を制し、再び大丈夫? と聞いてみる。
< 36 / 88 >

この作品をシェア

pagetop