君にキス。
3.噂話。
────
─
よく晴れた日。
昨日の天気とは打って変わって、太陽が照りつける。
少しだけ汗ばむ暑さ。
季節はもう初夏に程近い。
学校までの住宅街を、今日は珍しく一人で歩く。
今日は俺が寝坊したのだ。
いつもは深が寝坊をし、俺が先に出発して後ろから深が走ってくる、というのが通だ。
校門をくぐり抜け、生徒玄関まで入ったところ、そこで
「…陸、おはよう」
いつもより何処か冷静な声調で、深がお出迎え。
「おお、なんだお前、今日は異様に早いのな」
出迎えるほど余裕があったのか、カバンを持っていない。