君にキス。
口を尖らせてプンプン言いながら怒ってますオーラを醸し出している深をよそに、教室へ向かう。
──…少し、いや、かなり、
大変なことになっていたのは、きっと全部深のせいだ。
相合い傘? え、彼女いんの? まじショックー… ちょっと誰か聞いて来いよ。まじかよ。お前行く? うわっ、止めろ押すなって!
クラスの奴らはもちろんのこと、廊下からの話も全部耳に届いてくる。
全く、迷惑な話だよあの一年。
「………」
何か言ってやろうと思ったが、相合い傘をしたのは事実だし、放っておいたほうがいいかもと考え、何も言わずに机に着いた。