君にキス。






刺したプチトマトを、口には運ぼうとはせず、何故かまじまじと見つめる深。


何か面白いことでも思いついたのだろうか。





しかし深は

「プチトマトって可愛いよな、プチって言う名前が……、いや、響きが」




訳のわからないことを言うな。
プチって響きが可愛い?






──…そう言われてみれば少し可愛いかもしれない。


「……なあ陸、知ってたか? トマトってな、」

「なんだよ」








箸に突き刺さった無惨な姿のプチトマトを、深は無表情で見つめ続けて





「…ナス科、なんだってよ、意外だよな」




俺はなんで深がそんなこと知ってんのかが意外過ぎるよ。
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