君にキス。








────



「で? …付き合ってほしいって、なに? どこに行く?」




マンションから出て、広い大通りへと繰り出す。

ズンズンと前を歩く深の行き先は、まだ聞かされてはいなかった。




迷わず先へ先へと足を進める深の目的地は、付き合わされる俺にとって、それはそれは気になること。




すると深は足を止めて振り返る。
意味深な笑みを浮かべた口元。


「うーん…、帰らないって約束する?」




嫌な予感がした。
俺が帰りたいと思うくらいのことなのか?
嫌だと断っておくべきだったか。






「…言え、言わんと帰る」


俺も同じく足を止める。
このままダッシュで逃げたら…、と一歩下がるが、その前に深が近付いてくる。




「逃げたらダメ! わかったって言ったろー、大丈夫だって」


そう言いながら腕を掴まれた。
夏休み近い季節、くそ暑い気温。
深に腕を掴まれ、嫌気が差す。






どうでもいいから早く涼しいところに行きたい。
ずるずると深に引かれて、大通りを通過した。
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