君にキス。






────



それから何分後だろうか。
周りのテーブルより一回り大きいテーブルには、10人ぴったり揃い、窓際には男子、反対側には女子、と周りから見ても合コン状態だ。




俺が帰ろうとしたとき、やはり深に止められた。


「居るだけでいいから! しゃべんなくていいから! お願い、ここに居て!」




と頭を下げられ、可哀想すぎる深を一発激しくデコピンし、何もしなくていい、という約束で仕方なくイスに座った。






男子はいかにもチャラい、というか何というか、そんな感じの奴らが揃い、男子のみんなは一年の時のクラスメート。
女子は前川を含め、これもまたうるさそうな奴らが揃う。






不機嫌なのは俺、……と何故か前川、冷や汗をかいているのは深。
ウキウキワクワクなのは他三人。


そして始まるのは自己紹介。






みんな緊張しているのか、片言に話しているのに対し、


「前川由利、…よろしく」




不機嫌見え見え、前川に沸く男子三人をうざったそうに目を細め、蔑むように見下す。


その光景を見ているこっちが目を細めたくなる。
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