君にキス。
────
─
日曜の無理矢理合コンから数日。
再び普通の学校生活が始まる。
あの合コン後、前川はみんなより先に帰り、俺の隣にはいつも通り深がいた。
そして今日。
すでにホームルームが始まっていると言うのに、窓際の深の席には、誰も座っていなかった。
遅刻ならよくあることだが、ノッキーから聞いた話では、休みらしい。
特に移動教室もないため、深がいなくても大丈夫だが。
遅刻してまで来る深が休み、となると、うるさかった休み時間が静かすぎて居心地が悪かった。
隣の席には、変わらずに前川。
あの日曜日とは打って変わって、わからないくらいのナチュラルメイク。
少しだけ揺れる前川の机は、きっと貧乏揺すり。
「…ねえ、」
ホームルームが終わり、ノッキーが去って行ったあと、前川が口を開く。
こっちを向いていたことから、俺に話があるのだと理解する。
「ん?」
机から教科書やらノートを出しながら反応すると、前川の細い手が、机を漁る俺の腕を掴んだ。
一瞬で手を止める。
細いくせに力が強かった。
前川をふと見ると、日曜日に話をした時のような目をしていた。