君にキス。






「国崎さんは今まで続けてきたこと、何かありませんか?」


不意にそう訊かれ、戸惑う。
続けてきたこと、…そんなもの、なかった。




「……ないな、俺は。すぐ飽きるんだ、つまんねーって」

真剣にやっている自分が、ふとした瞬間にバカらしくなるんだ。






なんで俺は、バカみたいにこんなことやってるんだ、って。
ボールを手に持って、汗を拭くのも忘れて、必死に走って、ゴールに飛び込もうとしている自分を、……バカらしい。


冷静に考えた時にそう思う。








「部活とかは、やってらっしゃらないんですか?」

「……中三までならバスケやってた」




けどやめた。
今では、なんでバスケを選択したのかもわからない。


なんであの時、バスケに集中したのか。
それさえも、曖昧で。
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