人魚姫~A Mermaid Princess of victory~
人形姫が、そこにいた。


“私に残された自由な時間は、残りわずか。大会で、結果を残せなくなった時点で



終わりだから”


“どういうことだよ?”


“そのまんま。

そろそろ私の正体、気づいてるでしょ?
うちの親、会社の社長だから、私のこと連れ戻して、政略結婚させて、継がせる気満々。


分かる?”


“嘘だろ?”


“ホント。

だから私は賞を取り続ける。
初めて会った時、直、人魚姫って言ったでしょ?
あれ、ある意味当たってるかもね。
期限がくれば、私の気持ちなんて、



泡になって消えるんだから”


“消えるなよ。次の大会、絶対表彰台に上がるから。それまで待ってろよ”


“待ってるよ。






王子様”


そう言って去って行く彼女の背中から目を離すことは、できなかった。
< 107 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop