人魚姫~A Mermaid Princess of victory~
何を?って顔をする彼女に、さらに言葉をかさねる。
“なんで、助けたんだ?正体隠してまで”
“あぁ、その事?
だって、
`桜木詩音´は、`人形姫´でしょ?
そしたら、意地でも無表情で接しなきゃいけないじゃない。
王子様に”
彼女の目には、うっすらと涙が溜まっていた。
そんな彼女が、愛しくて、思わず抱きしめた。
“ねぇ、人魚姫。
俺、中学の頃からずっと好きなんだけど”
“ありがとう、王子様”
“お姫様の気持ちは?”
“…好きです”
彼女は顔を真っ赤にして言った。
“詩音可愛い”
“――…”
わざと意地悪く、耳元で囁くと、彼女の真っ赤な顔は、さらに赤くなる。