人魚姫~A Mermaid Princess of victory~
“―直に初めて`詩音´って呼ばれてた…”
“俺だって、初めてだよ?詩音に、`直´って呼ばれたの”
“私は呼んでたよ?直が`マリン´って呼んでた時”
“それは、別の人格なんだろ?”
“でもっ…”
“あ゛ー、もううるさい///。ちょっと黙ってよ”
照れ隠しをするように、詩音の唇を奪う。
驚いたように目を見開く、詩音を見て、笑みがこぼれる。
“キスの時くらい、目閉じてよ”
“不意打ちは、ずるい”
そう言って、背伸びした詩音は、自らキスをした。
高校最後の大会。
もう悔いはない。
夕焼けに照らされた競技場。
ファーストキスは、甘い甘い罠の味。