人魚姫~A Mermaid Princess of victory~
“うっわ、桜木ちゃんめっちゃ綺麗”
“うっわ、あり得ねー。マジ、他の奴に見せたくねー。ってか、なんでお前の彼女が王子役なんだよ”
“ああ、由貴ね。詩音にべた惚れだもん。とられないように頑張って”
“キャー、詩音様、素敵ー”
“由貴様、私と踊ってー”
翔の言葉も聞き捨てならないが、この周りにいりる観客もとい生徒もすごい。
・・・宝塚かなんかか?
だけど、周りが騒ぐのも分かるくらいに詩音はきれいなお姫様になっていた。
あーあ、もう彼女と一緒に勉強してて、手出さない自信がなくなってくる。さっきの翔や朝倉、高田との会話のせいもあってか、変に意識している自分がいる。
そして、舞台は歓声(ほとんどが在学生の悲鳴による)に包まれる中幕を閉じた。
“さて、行こうか”
そう言って、おもむろに俺の手を引張って翔が歩きだした。