人魚姫~A Mermaid Princess of victory~
なんでこの前無視した奴の介抱なんかしなきゃいけないんだ…?



気に入らない。



だけど、俺の肩に頭をもたれかけた彼女は、本当に辛そうだった。


“そうしてると、詩音もおとなしいんだけどねー”


仕方なく、彼女の頭をひざに乗せ、体を横にする形をとらせていた俺に朝倉が言った。


“はっ?”


“だって詩音、男に声かけられると、すぐ逃げちゃうんだもん”


“ってか直、なにげにおいしいとこ持ってったよな?”


“じゃあ代わる?”


“えっ?ちょっと直さん、詩音起こさないで。絶対暴れるから”


“冗談。安心してよ、これでも面倒見はいいから”










朝倉が慌てるのもわかる気がした。今起こしたら絶対起き上がって、小言の一言や二言は言うだろう。










いつの日かのように……――。
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