Animal Voice
1
気のせい…
「んー……」
いつもより強い日差しが
カーテンの隙間からあふれてくる。
思えば、夏休みが始まってから
時間を気にすることなくずっと眠っていられる。
あともうちょっと寝よう。
「英奈ー、ちょっとさぁレモンのエサ無いよー?」
姉の声が1階から聞こえてきた。
それもちょっと急ぎ気味の声で。
私の名前は
松島 英奈(マツシマ エナ)
どこにでもいる普通の中学3年生。
眠いって言うのに、朝っぱらからなんなの~。
「じゃあ、買ってくればいいじゃーん!」
「はぁ?こっちはあんたと違って夏休みでも学校があるの!」
姉は
松島 沙都 (マツシマ サト)
私と2つ違いの私立高校に通う2年生。
「もーう、しょうがないなぁ」
そうして、私は家で飼っているインコのエサを
買ってくることになった。
ガチャン。
私が言った後
姉はすぐに家を出ていってしまった。
「ったく、この間買ったと思ったらもう食べやがって、あのデブインコー」
ブツブツ言いながら1階へ下りる。
リビングのテーブルの端っこに500円玉がおいてあった。
きっと姉が置いていったものだろう。
なーんだ結構いいところあるじゃん。
でも別にお金あるから余計なお世話というか…ま、いっか。
しかし
うちのインコは本当に買ったと思ったらすぐに食べてしまう。
結構前の話だが、病院に連れて行ったとき
お医者さんに地元で1番大きいインコで
こんなに太っちょなインコを見たことないとキツく言われてしまった。
少しくらいあげなくても死なないよね。
ちょっとはダイエットさせないとダメだし。
一応、500円玉はお財布にしまうことにした。
そして部屋に戻ろうとしたときだった
「エサ、はやくちょうだいよ」