Animal Voice

約束

ガチャン。

ためらいながらも家に入った。
廊下を通りドアを開け、リビングにはいる。
部屋のすみの棚の上にレモンのカゴがある。

「ほら、エサ買ってきたよ……?」

「わーい!!はやく入れて入れて~」

羽をバタバタとして喜ぶ。
そしてレモンの言うように
エサ箱にエサのあわを入れる。

いれたと思ったら
すぐにレモンは飛んできて
おいしそうにあわを食べ始めた。

「ありがと!さすがボクの飼い主だね!」

「あ、うん。ところでさ、聞きたいことがあるんだけど……」

「なぁに?きいていいよ」

「なんでしゃべれるの?」

「あぁ、それはあとで教えてあげる」

「あとで?」

「だってボク今食事中だもん」

「あ、そっか。わかった。」

一体、なぜしゃべれるのかが
すごく気になってしょうがなかった。
はやくエサを食べ終わらないかをずっと見ていた。

「ごちそうさまぁ~」

「あ、じゃあ教えて?」

「うん、じゃあ話すとするよ」

しばらくレモンがしゃべったあとに
沈黙が続いたのだが
レモンがまたしゃべりだした。


「実は、君はボクのお母様を助けてくれたよね?」

「そうだっけ?」

「雨の日にコンビニの前で倒れてたんだ。覚えてる?」

「あ……あー!思い出した!!でもあれレモンのお母さんだったの!?」

自分でもビックリした。
去年の冬にコンビニの前でレモンに似たインコが
雨のなか、ぐったりと倒れているのを助けたのだ。
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