Animal Voice
2

不安

ここまでの展開に頭がついていかない。
さっき普通にレモンとしゃべっていた
自分がやけに気持ち悪い。

まわりから見たら
どんなふうに見えていたのだろう。

でもそれよりも

約束をしたものの
本当に守れるかが凄く
心配と不安になった。

今まで友達の好きな人とか
そういうのは普通に
言ってしまったことがある。

もしかしたら
レモンのことも
言ってしまうんじゃないか……

でも、もしレモンのことを言ったら

レモンと今まで一緒に過ごした日々も
レモンとの楽しかった思い出も
レモン自体もすべて消えてしまうのだ。

そう思うと
絶対に言ってはいけないと思うが
どうしても言ってしまいそうな自分がいる。

このことを死ぬまで
隠し続けるのは正直無理がある。



「レモン……」

「なぁに?」

「お願い事っていつすればいいの?」

「いつでもいいけど。」

「今でも?」

「うん。でももう話せなくなるけどね」

「あ、そっか……」

「話していたいなら、願い事を言うのは先にすればいい」

「うん、そうするよ。」

「あとさぁ、英奈ひとついい?」

「うん」

「ボクがしゃべれる間は約束を守るんだ」

「え?」

「願い事を叶えたあとは誰かに言ってしまっても大丈夫」

「そうなの!?」

「うん」

たったひとつ、
約束を守る以外に
レモンを消さない方法。

それは願い事を言ってしまえばいいのだ。

でも、それは寂しい。

だからって願い事をいつまでも
言わないでおいたら
約束をいつまでも守りきらなくてはいけないのだ。

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