もしも。
「やぁ、行こっか」

「…今日は…」

「愛を伝える場所に」

愛を?笑えるわね。貴方に愛なんて言葉は似合わない。
つまらない冗談は、やめてほしい。

タクシーに乗って、沢水が言う…愛を伝える場所に向かった。


行為が終わると、私は起き上がって水を飲む。

甘いひと時は、もう終わった。

帰ろう。

服を着ようと立ち上がると腕を引っ張られて、押し倒された。

「…」

ただじっと私を見つめる。
優しい目で見つめられて、優しい腕に抱かれて、優しい手で頭を撫でられて。

「今日泊まろうよ」


この男は、ただ求めてるだけ。
快楽を求めてるだけ。

私を求めているはずがない。

「…つまらない女でしょう…」

「いいや?」

私はつまらない女よ。それに酷い女。

私も快楽を求めてるだけだから。
誰だろうと構わない女なの。


「本気で好きになった人だから」


…本気?
私に?

ありえないわ。いい加減にしてほしい。私達は遊んでるだけ。

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