恋・キオクの蕾
「あ、あの・・・圭君っ・・・!!」

いきなり名前で呼ぶのか。

『何?僕に何か用かな?』

俺は、表では好青年を演じている。

第一印象が良いと、まぁ、何かと便利だし。

「あ、あの・・・」

何だよ。早く言えよ、鬱陶しい。

『ん?』

「あの・・・ずっとずっと好きでしたっ!
 付き合ってくださいっっ」

本日6人目。

はぁ~・・・。

『モテモテですなぁ♪表圭君?』

『黙れ結城。
 あー・・・えぇっと、ゴメンね?
 僕今、誰とも付き合う気・・・無いから』

「っ・・・・・!!」

あーあ。泣いちゃった。

『前の5人にも同じコト言ったよな』

『しょうがねぇだろ?他に何言えっつーんだよ』

ちょっとふざけながら教室に向かった。

なぜか、教室に向かう足取りが

早くなっていった―――
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