夏ものがたり
出会い
「おばあちゃん!!!」
今日は待ちに待ったおばあちゃん家。
夏休みになるとほとんどの日を、おばあちゃん家で過ごす。
仕事で忙しい両親は、昼間家にいない。
兄弟もいないわたしは、一人で家にいるわけにもいかず、おばあちゃんに預けられる。
でもそれがわたしの楽しみだ。
わたしの名前は山田小春。
小学6年生の女の子だ。
クラスではおとなしくて、あんまり友達もいない。
両親の仕事の都合でしょっちゅう転校していた。
自分から話しかけられなくて、友達も作れないでいた。
つまらない毎日。
たいくつな毎日。
そんななかのおばあちゃん家。
楽しみでしょうがない。
おばあちゃんは優しくて、あったかい。
わたしはおばあちゃんの腕枕で寝るのが大好きだ。
なにより安心する。
ふわっとしたおばあちゃんのにおいも大好きだ。
今年もおばあちゃん家で過ごす。