駄菓子屋松金 ─マツガネ─




* * * *


「とっちゃーん!新商品の試食まだー?」

「あー、ハイハイ。試食した以上は買ってけよお前ら」

「そこで脅さないでくださいよ、もう」


駄菓子屋松金は、今日もちびっ子に囲まれて大繁盛。

新商品の入荷で、今日は更に子供が嬉しそうにやってきた。


「おいしー!あ、舌の色が変わるよー」


ベーッと舌を出しながら不思議そうにするちびっ子。

その手はしっかりと新商品を握り締め、どうやら常磐の言うとおり、本当に買うつもりのようだ。


子供は素直だからな。BY常磐


「こんにちは〜」


忙しい店内に、柔らかい女性の声が響いた。


顔を上げてそちらを見た二人は、少しだけキョトンと目を丸くしてから、ほぼ同時に微笑む。


「いらっしゃい。新作入ってるよ」


常磐が試食用の駄菓子を差し出すと、穹人の親子は嬉しそうに顔を綻ばせながら、それに手を伸ばした。


「皆そっくりだな」

「そうかしら?」


彼女は笑った。



常磐は店先から空を見上げた。


きれいな青空だ。


今日も、街は平和です。





【平和を望む者】完


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