駄菓子屋松金 ─マツガネ─



反射的に振り向くと、意識が戻ったのか、ナイフを持った銀行強盗のグループの一人が、自分を取り押さえていた隊員を切り付け、こちらに向かってきていた。


「よくもやりやがったな化け物女!ガキのくせに偉そうにしやがってよ!」


どうやら麗雨のことをよく思っていないようだ。

確かに、こんな少女に強盗グループが取り押さえられたとなると、何と無く悔しいとは思うのかもしれない。

しかし、先程ボコボコにされたにも関わらず、再び麗雨を攻撃するのは、やはり馬鹿なのか。

麗雨は横に居たカノヤを後ろに押しやると、腰から鉄パイプを抜き、迎え撃とうと構えた。

のだが。


『人が話してんのに横入りすんな!』


と、常磐と紫呉の鉄拳が炸裂する。

カノヤは唖然とするし、麗雨も普段の無表情を少しだけ崩した。


「大体何なんだよ、お前等よォ。人が汗水流して働いて稼いだ金を横取りなんて良い趣味してんじゃねェかよ」


常磐はどうやらスイッチが入ってしまったらしい。

いつもの無気力なオッサンオーラはどこかへすっ飛んでいる。






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