駄菓子屋松金 ─マツガネ─



屍として転がっていた隊士達は、その様子を見て目を見張る。

先程まで鬼のように暴れていたあの二人は、化け物と称されるほどの強さを誇り、現に自分達はこうして屍として地面に転がり、事が収まるまでおとなしくしていなければならなくなっている。

それを、たった四人で止めてみせたのか。

しかも、麗雨を押さえているのは一般人だ。

ただの庶民に、一体なぜそんなことが可能なのか…


「車山、お前はもう良い大人だ。麗雨はまだ子供っぽいところがあるが、まだアイツは未成年なんだ。年配のお前が一緒になって暴れてどうする」


紫呉は溜息を吐きながら言った。

尚輝は嫌そうに眉を寄せると、顔を横に逸らした。

麗雨もむくれたように口を尖らせると、プイッと同じようにした。

四人は困ったように顔を見合わせ、苦笑した。


こうして、隊舎の全壊は防がれた。






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