駄菓子屋松金 ─マツガネ─
………までは良いのだが、プリンの件をどうするかだ。
瓦礫の山は部下に片付けさせているが、尚輝を誤魔化すために作ったプリンは冷蔵庫の中だ。
さり気なく取出し、不自然では無い形で手渡す必要がある。
「取り敢えず、中に入って甘いものでも食べましょう。イライラしたときは糖分が一番ですよ」
「我が儘な副隊長さんの為に、わざわざ取り寄せてやったんだぜ」
おおナイス駄菓子屋コンビ!
浩也は彼らの自然なやりとりに思わずガッツポーズだ。
紫呉も何処か安心したような眼差しを向けている。
そのまま六人は隊舎へと引き上げ、部下の恨めしそうな視線を背中に感じながら、心の中で謝った。(恐らく尚輝、麗雨は例外)
会議室に設置してある冷蔵庫を見て、浩也は息を吐きだした。
──手作りだってバレなきゃ良いけど……
ワクワクとこちらを見つめる尚輝と目が合う。
浩也は苦笑いしながら冷蔵庫を開けた。
「…………あれ?」
そこで首を傾げた。
「どうした?」
紫呉が何事かと尋ねる。
浩也は顔を真っ青にした。
「……無いんです、プリンが……」
「……エェェェェ!?」
常磐、カノヤ、尚輝の声が重なった。