駄菓子屋松金 ─マツガネ─
「オイオイ! 世の中はエコの時代だぜ? 冷蔵庫開けっぱにすんなよな!」
冷蔵庫を開けっ放しにしていると、扉が開き、騒々しい男が乱入してきた。
弾かれたように振り向いた紫呉と浩也は目を見開いてから素早く敬礼をする。
尚輝は面倒なものを見るように眉を寄せ、舌打ちをした。
麗雨は嬉しそうな表情を見せて、男に駆け寄る。
「潮田さん!」
「おぉ、麗雨。お前また暴れたんだってな。女の子なんだから、もう少しおしとやかにしろよ」
潮田と呼ばれた男はガハハと豪快に笑いながらまるで息子にそうするように、麗雨の頭をワシワシと撫でた。
駄菓子屋コンビは彼女の子供らしい、年相応の表情と仕草を見て、驚いたようにフリーズしてしまった。
「で、冷蔵庫に何か有ったのか?」
潮田は尋ねた。
浩也が答える。
「実は、ここに車山副隊長のプリンを入れてたのですが、無くなってたんです」
「尚輝の……?」
潮田はそう呟いた後、「あああ〜Σ!!」と大声を張り上げた。
耳を塞ぎながら、カノヤは尋ねる。
「心当たりが有るんですか?」
すると、潮田は苦笑した。
「お偉いさんが来たからよ、茶菓子の代わりに出しちまったぜ」
「んなァァァァ!?」