駄菓子屋松金 ─マツガネ─
カノヤはあたふたと困ったように潮田と尚輝を交互に見るが、鋭い殺気が空気を震わせて、どうしても体が萎縮してしまった。
そんな中、麗雨がいつものやる気の無い態度とは一変して、何やらヤル気満々に鉄パイプを構える。
「車山ァ! 潮田さんに手ェ出したらわしが許さんぞ」
「ハン、統帥の方が地位は上だからね。俺が統帥になった暁には、お前をこの手で処刑するよ」
「ちょ、喧嘩はダメだってば。会議室狭いし、外でしなさい」
「つーか止めろよΣ!!」
物騒な尚輝の言葉の後に続いた潮田の的外れな注意に、まともな思考を併せ持つカノヤ、紫呉、浩也はツッコむ。
カノヤは、愛護のトップがこんないい加減で良いのかとか、彼らは武装警察と云う名のただの暴力団なんじゃないかとか、色々考えてはいたのだが。
──僕、この一連の騒動と何の関係もない………!
つまり、ただ単に巻き込まれてしまい、今命の危険にさらされていると云うことになる。
「何かめんどくさくなってきたな」
「そうですね…」
常磐がカステラの空袋を丸めながら欠伸をする。
カノヤも遠い目をしながら、彼らの喧嘩を見ていた。