駄菓子屋松金 ─マツガネ─
×繋ぎ止める者×
《昨夜、覚醒剤を使用していたとして、17歳の少女が逮捕されました。
少女は「学校の先輩に貰った」と供述しており、警察は「学校の生徒や教師にも、薬物を使用している者が居る可能性がある」と見て、捜査を続けております》
「17歳の…女子高生じゃないですか。最近の学生って擦れてるんですね」
テレビを見ていたカノヤは、煎餅をかじりながら緑茶をすする。
最近は、薬物汚染のニュースばかり見る。
年齢は幅広く、芸能人ですら手を出してしまう代物らしい。
「学校ぐるみでやってんじゃねぇの? クラスメイト皆で昇天してたりして」
「なんつー学校ですか!」
さらっと危険なことを言い放つ常磐に、カノヤは緑茶を吹き出す。
「うわ、汚なッ!」と言いながら常磐は飛び退いて、勢い余って鈴カステラをぶちまけた。
「あぁぁぁ俺のカステラぁぁ」
情けない声を出しながら、どういう訳か店の入り口に飛んでいったカステラを拾おうと手を伸ばすと、さきにそれは細くて白い指に拾い上げられた。
「あっ、サンキュー。でも落としたから食えねーな…」
「相変わらず、客が来なかったら引きこもってテレビかいね」
「あぁ?」
聞き覚えのある声と、ムカツク口調に、常磐は顔を上げた。