駄菓子屋松金 ─マツガネ─
一般人にあまり情報を流すなと紫呉に言われている、と麗雨は立ち上がり、駄菓子屋を後にした。
もう十分色々喋ったと思うのだが。
「やっぱり頭弱いみたいですね」
「……潜入捜査なんて出来んのか……?」
色々心配になってきた二人だった。
* * * * *
麗雨が署に着くと、紫呉が出迎えてくれた。
「どうだ? 馴染めそうか?」
麗雨は顔を上げると、スカートの端を摘み上げた。
「このピラピラが気に食わんでな。足がスースーするけぇ」
「我慢しろ。それも仕事だ」
それよりパンツ丸見えだぞ、と紫呉は付け足してから、困ったように顔をしかめて髪を掻き上げる。
麗雨はさほど気にした様子も見せずに、取り敢えず着替えようと自室に戻った。
その背中を見ながら、紫呉は目を伏せた。
──本来ならスカートを違和感無く履く年頃なのだろうな…
そう思いながら、仕事に戻ろうと踵を返した。