駄菓子屋松金 ─マツガネ─
麗雨は堅苦しいリボンを取り外し、セーターを脱ぎ捨ててスカートを放り投げた。
小さな子供のように服を脱ぎ散らかして、そのままあまり寝心地が良いとは言えないベッドにダイブする。
適当に置いてあったジャージの短パンに足を通して、ワイシャツを脱ごうとボタンに手を掛けた。
──あの髪の色…目の色…穹人でしょ?──
──穹人のくせに学校に通うなんて、生意気だわ──
ヒソヒソと廊下で交わされていた会話。
それをふと思い出して、指の動きが止まった。
やはり差別は若い世代にも根付いているのだな、と少しだけ悲しくなった。
──けど、わしは…
するり、と露になった背中には、羽のような痣が一つ、小さく浮かび上がっている。
──人間でも、穹人でもねぇ…
そう、彼女は穹人である母親と、人間である父親から生まれた、【合いの子】だった。