【番外編】苺みるくの秘密
前祝い当日。
「春くん」
みんなが来てくれたのは嬉しかったのに、その中に白百合のような君を見つけた瞬間、後悔とか愚かな気持ちが止めどなく溢れ出た。
「改めて、婚約おめでとう」
「……」
「春くん……?」
「ごめん。ありがとう、ユリ」
君はオレに純粋な笑顔で言ってくれたよね。
だけどこの時、君を抱きしめてさらってしまいたかったと思ったなんて、君は知らなかっただろう。
パーティーは賑やかなものだったのに、オレの瞳には君しか映らなかったよ。
千秋に朱里を迎えに行くように頼んだのは、向き合いたくなかったオレの弱さだったんだ。
「ひどいよ、春希! 弟くんに頼むなんて!」
朱里は来てすぐにオレを廊下に引っ張り出して、文句を浴びせた。