【番外編】苺みるくの秘密
「悪かったよ。ごめんな」
「ケーキ買いに行く時もそうだったじゃん!」
「ごめん」
「婚約のお祝いだっていうのに気分悪いわ」
「ごめんって」
ただひたすら機械みたいに謝るオレの元に君が来た。
「春くん、朱里? ちょっとどうしたのよ?」
君は困ったように言った。
なんでもないと濁したオレに君はただ口元で笑った。
すぐにパーティーに戻ったけど、ヘソを曲げた朱里は不機嫌な態度をとってばかり。
しばらくした頃に椎菜ちゃんが来てくれたけど、すぐに千秋と一緒に二階へ消えてしまった。
弟の千秋も幼なじみの雅弥も、朱里のことを気に入らないと思ってることはずっとわかっていた。
雅弥はもう何年も前からだ。
『冴えない女にかまけてないで、ユリのこと、なんとかしてやれ』
まだ中学生だった雅弥はオレにそう吐き捨てた。