【番外編】苺みるくの秘密
相当前から怒りが溜まっていたのだと思った。
ほんとは朱里もわかっていたんだろう。
「春くん!」
駆け寄ってきた君を睨む朱里は、今にも泣きそうになりながら言葉を繋ぐ。
「二人共、最低だよ……」
最低なのは、オレだけだ。
朱里を騙してきたも当然だから。
家を飛び出す時に朱里は言った。
「……ごめんね春希。ほんとは、わかってたの。ユリの気持ちも、春希のほんとの気持ちも……」
泣きながら去り行く朱里を引き留める資格もない。
嘘で固めた想いで朱里を抱きしめることは出来なかった。