【番外編】苺みるくの秘密
「し、慎?」
抱き合っているって言った慎。
けどあたしには意味がまるでわからなかった。
だから理知的な瞳から逃げるように俯くしかないのよ。
「葉月、君は頭がいいからわかってるだろう?」
クイッと顎を持たれたあたしは再び慎を視界に映す。
このメガネ男はあたしを動揺させるばかりだ……。
悔しいくらいに、ドキドキする。
慎はメガネを外しながら囁いた。
「男は、好きな女の前では“男”を見せるんだよ?」
眩暈がする程の言葉。
それはどんな意味を含んでいるのかわかってしまうから。
慎は狭い部屋の天井から垂れ下がる電気の紐に手を伸ばした。
――パチンッ
一瞬にして灯りが消えた。